喫茶店に住む猫


なんとなく思いついたフィクションとノンフィクションの入り混じったお話。


わたしは猫だ。そう、にゃーんと鳴く猫。
黒と白と茶の毛が微妙に入り混じっているのが自慢だ。いつも手入れをしている。

人通りの少ない通りにある古風な喫茶店の窓辺がいつものポディション。
雨でも晴れでもだいたいここにいる。
特に訳があるわけではない。なんとなくここが気に入っている。
晴れの日はひだまりになるし、雨の日は少し寒いけど外を眺めるのが楽しい。

ここではいつも店主が自分で選んできたCDを静かに流している。
照明は若干薄暗くも暖かな光を灯している。
お店の入り口がとても低いのが特徴だ。
木製のテーブルとアンティークな飾りや食器などに囲まれて
なんともいえぬ和やかさがある。

狭い店内の中は基本、店主一人とわたしだけだ。
ここの店はあまり繁盛していない。
でもそれがこの店のいいところなんじゃないかなと思う。
ぽつぽつお客さんがきて、温かい紅茶やコーヒーをケーキなどと一緒に食べながら
店主と1人のお客さんで弾むような弾まないような他愛のない話をして帰っていく。

わたしはそれを窓辺から、時にはカウンターの席からただ眺めている。
たまにお客さんや店主から撫でられることもあるけど。
人間の言葉は話せないし。
でも表情や話している音や身振りなどからお客さんの気持ちを読むのはとても得意だ。
だからお客さんがここに来ることで癒やされて帰っていってるのがよく分かる。

ゆえにこの店は繁盛しちゃいけないと思う。
繁盛しちゃったらこの静かでのどかかつ、和やかな空気は確実に壊れてしまう。

たぶん、ね。
写真出典: photo AC

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